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Category: 航空分野

国際フロンティア産業メッセ2016 参加レポート

(公式HP)https://www.kobemesse.com/

1. はじめに
国際フロンティア産業メッセ2016は、「次世代を創生する技術の集結」をテーマとする西日本最大級の産業総合展示会として9月8日から9日までの2日間、兵庫県神戸市の神戸国際展示場で開催された。主催者発表によれば今回の出展は540小間と、過去最大規模であり、8~9日の2日間で、昨年度を上回る29,875人の来場者数となった。

2. 見学内容
(1) 【関西航空機産業プラットフォームセミナー】
「我が国の航空機産業の動向と今後の展開に関するクロストーク」
~品質を確保しながら、いかに生産性向上、コストダウンを図るか。~航空機×自動車での業種間比較を踏まえて~
パネリストは航空機用エンジン事業を行う川崎重工業(株)、そのサプライヤーである上村航機(株)、自動車部品の製造から航空機部品の製造へと進出を始める真和工業(株)、現在まで自動車部品を主として製造してきた(株)平安製作所の4社。最初にそれぞれの会社紹介等発表があった。
その後、本セミナーの主催であり司会進行役も務めた近畿産業局からは、「関西航空機プラットフォーム」事業の概略説明があった。
世界の民間航空機市場は、年率約5%で推移し、今後20年で市場規模は倍増する見通しである。そこで航空機の発展及び関西産業活性化のチャンスを逃さぬよう、平成28年「関西航空機プラットフォーム」を設立。企業同士のマッチングや人材育成、設備投資の支援制度などを推進する方針。
川崎重工業(株)
エンジン事業の特徴として、新規は少ないが、アフターマーケットが大半を占め、いかに一度製作されたものが何十年に渡って使用され、それだけに品質が安定して信頼されるものでなくてはならないことを物語っている。また、部品供給の現状として、1個の部品を完成までに各工程ごとの受諾工場を周り1600kmもの距離を経て川重へたどり着くこともある。できることなら一か所でクラスター生産したいところだが、それぞれの工程での高い技術が必要なため、ある特定の企業でしか出来ない場合はやむ終えないと認識している。ただ一方で、米国での調達では6500kmもの移動を経ているケースもあり、日本列島を一つのクラスターと見なせば優位性があると言える。
ジェットエンジンを新規で製作する場合の量産までの流れについて順を追って。自動車との大きな違いとしては「量産の立ち上げ」が最も重要となってくる。川崎重工では、ひとつのエンジン生産を、立ち上げからコスト回収期・利益発生期までの約40年間をともにする事になるサプライチェーンの構築と育成を重視しており、サプライヤー選定のために「iMapシステム」(=企業診断カルテ)を構築している。過去の発注実績や保有設備などが記されたサプライヤーの総合データベースから、マッチしたサプライヤーを検索する。またそののちリスク/能力評価としてANSI9000やJIS9000、JIS9001の認証を保有するサプライヤーのうち、認証を本当に活用出来ているかまでリスト化しチェックする。さらに量産部品を同じ品質で数十年提供し続けることができるか経営的な体力も含めて維持能力を確認する。
以上のことからわかるように、航空機産業への参入は決して狭き門ではないが、初期投資と企業の高い体力が求められる。
上村航機
創業来産業用ガスタービンエンジンを製造してきたが、2006年からは川崎重工が担当しているロールスロイス社製航空機エンジン用ブレードを製造。川崎重工のサプライヤーである。品質管理について、目標は一括生産だが、1個の部品が100個/年未満であり、ライン生産が難しい。
真和工業(株)
小島プレス工業のグループ会社であり、愛知県に本社を置くトヨタの一次サプライヤーである。トヨタの「分社分業」の精神から、小島プレス工業のうち鉄やプラスチックなどの小型部品を取り扱っている。売上の95%は購入(外注)して販売している。航空機業界への参入の経緯は、中部産業局より域内の小島プレスグループへ三菱MRJ向けのサプライヤーチェーンである松坂クラスター参入の勧誘が有り、一日4万箱近い物流を扱っており高い物流管理の能力を有する真和工業へ白羽の矢が立ったそう。松坂クラスターでは受注品目の一貫生産を目指し参与企業の得意な分野を提供して一個の組立工場を構成する。真和工業としては自動車産業で培ったロジスティクス能力(モノの動かし方)を航空機産業でも活かして行きたい。
(株)平安製作所
滋賀県の加工メーカーで設立は木炭のガス炉から始まる。1990年頃より受諾した図面のまま作るのではではなく、省エネ・低コスト化などVA活動に力を入れており、製品の75%はVAをしたものである。

その後のクロストークでは、下記意見が交わされた。
・認証について
特殊工程では、NADCAPが必要であり、これがあればかなり信頼度が高い。JISQ9100は認可しすぎ。取得企業の98%は形だけに過ぎず、その根本精神を理解していないため、とても発注できる状況にない。
・品質保証が確立されたら受け入れてもらえるか
品質保障の考え方の違いとして、自動車では抜き取り調査による確認が主だが、航空機では
製造状況を管理する事によって品質を保証している。管理された完全に同一な条件で再生産すればまったく同じ品質の物が出来上がる、という考え方。
(航空機)国によって、制度が異なるので、それぞれ認証が必要となってくる。部品については、製造設備の管理まで一か所でも変更したら全て再取得となる。関連する書類は、40年間保管される。
(自動車)年々VE、VA、工程内改善が求められているため、品質保証以外に効率性が重要となってくる。
【西無線研究所】電子機器
実際に宇宙で使用されていた小型人工衛星用無線機を展示。13年前に初号機が開発され、継続稼働中である。現状では年間生産ロットが10~20台と少ないため、全て手作りで製造している。他にマラソン用タグや安全作業支援装置なども手掛ける。大学宇宙工学コンソーシアムUNISECとも協力している。
【JAXA】航空・宇宙
環境試験技術ユニットの出展、実際に宇宙開発で使用された試験設備を社会へ還元する取り組みの一つとして供用制度を実施している。試験設備の供用のみでなく、設備運転業者の手配も行っている。民業圧迫を避けるため試験費用は民間試験業者とほぼ同じである(ただし実際には若干安い)。スケジュールはHPより閲覧可能であるが、予約状況は試験機器によってばらつきがあり、振動試験はほとんど埋まっている状況。つくば大学などの大学機関や民間業者、防衛省からの依頼もある。
【神戸工業試験場】試験
受託試験専門の企業である。試験実施項目や規格を提示すれば、試験品の製作から報告書の作成まで一貫して依頼できる。
【サキノ精機】機械加工
ブースには自社製作のゴムガンで射的の縁日を再現。展示用とのことだが、一体型の六角形の箱や立方体の3次元パズルなど、来場者が楽しめる内容であった。
【三田電気工業】樹脂加工
様々な材質の樹脂の成型品を展示。樹脂PEEKは、270℃まで耐えられる材質で、NASAが開発したものである。
【神戸市立工業専門高等学校】
空気を使った機器を展示。エア吸盤でドローンを垂直移動・壁面に停止させる装置やゴムの伸縮により4足歩行動物のジャンプを再現。ドローンでは、エアの吸着を良くするため、表面はシリコンで中はビーズにし凸凹面にも吸着するよう工夫されている。学生は1年で開発から製作、完成まで担当する。
【東北大学流体研究所】
東北大学流体研究所では、文部科学省先端研究基盤供用促進事業「風と流れのプラットフォーム」、今年に入って風洞施設・数値シミュレーションの高度使用支援サービスを開始。民間企業の製品開発・研究に風洞実験施設やスーパーコンピュータが利用可能で未経験であっても専門の技術者からの支援や相談を受けることができる。東北大学流体研究所の低乱風洞では、乱れ強さが約0.02%ほどに抑えられ、より精度の高い観測が可能となっている。既に民間企業などで8~10件/年の依頼有り。希望すれば施設の見学も行うことができる。
3. 所感
今回の展示では、大学や高専など企業以外からの出展や観光・物産関連の出展も多くみられ、来場者も学生や一般人が多く和やかな雰囲気の展示会であった。
セミナーでは、航空機産業に関してそれぞれの立場からの貴重な意見を聞くことができた。今回の展示会で一番人気のセミナーであったようで、キャンセル待ちや立ち見席までできるほどであった。

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